やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

デビュー後にシリーズ2作目をKDPで出版する方法

このたび、デビュー作の続編となる作品をKDPで出すという、普通ならあまりやらないことをやらかしたので、そうなるまでの経緯や方法についてまとめておこうと思います。
現在作家として活動しているけどKDPもやってみたい(またはやらざるを得ない)という方は参考にしてみてください。

1.出版社との契約を確認する
出版社から本を出すにあたって、大体の方は出版契約書を交わしていると思います。自分の場合、本の出版後に出版契約書が送られてきたのですが、署名捺印する前に「シリーズ2作目以降を他社で出さない」という項目を削ってもらいました。デビュー作の売れ行きが悪く、その時点で続編を(こちらの希望する条件では)出してもらえないと明言されていたためです。
出版契約の契約有効期間は3年や5年など会社によって違うと思いますが、「契約を更新しません」と通知をしなければ勝手に更新されることが多いようです。もし条項の中に不利なものがあってお困りでしたら、有効期間の切れるタイミングを狙って契約を打ち切ると自由になれますよ(出版社とのご縁も切れる恐れがありますが)

2.EINの申請をする
これをやっておくとアメリカに二重に税金を取られなくて済む、と聞いたのでやっておきました。自分は英語が全く駄目なので、こちらのサイトを参考に、英文を丸写しさせてもらってどうにかしました。
http://ama.hatenablog.jp/entry/2013/12/07/075605
PDFをダウンロードして名前や住所を記入した上でプリントアウトし、署名してアメリカにFAXします。数日後にはアメリカからEIN番号の記載されたFAXが届きました。
そのあとKDPの登録手続きで「税に関するインタビュー」という質問に回答を入力していきます。その際、注意が必要なのが、《個人》の場合はEIN番号ではなくITINという別の番号が必要になるらしいのです(これは最近変更になったようです)
自分の場合は青色申告をしている個人事業主なので、《個人》ではなく《みなし事業体》を選んで入力を進め、EIN番号を登録して無事にアメリカの源泉徴収税を免除してもらうことができました。

3.原稿の準備をする
自分はWordで原稿を書いているため、docxファイルをそのままアップロードすることで本を作成することができました。事前に調べて、《縦中横》の文字に関しては潰れてしまうという情報を得ていたので、校正の際には「!?」などの表記を削りました。
原稿の内容はきちんと反映されていましたが、一点、失敗がありました。先日の告知の記事にも書きましたが、ルビは問題なくアップロードされたのに、傍点が反映されていなかったのです。これについては検索しても情報が見つからず、今のところ修正する方法が分かりません。いずれ調べて修正したいと思います。

4.発売告知をする
本が完成して、しばらくすると出版されます。「日本語の本は発売まで48時間掛かる」というメッセージが出ましたが、自分の場合は5時間で「あなたの本が出版されました」というメールが届きました。このあたりは10時間掛かった人もいれば本当に48時間掛かった人もいたりと、人によって違うようです。
出版されたら、告知をしなければ誰にも気づいてもらえないので告知をします。自分はこのブログとTwitterFacebookとサイトのトップに告知を出しました。Twitterでプロとして活躍中の作家さんにリツイートしていただけたり、ブログ記事がはてなブックマーク人気エントリーになったりしたので、多くの方に「出版されたんだね」ということは認知してもらえたのではないかと思います。
しかし、そこで本を買ってくださる方は、そんなに多くありません。自分はデビューはしたものの、何しろ売れていない無名の作家ですので、面白いかどうかも分からない小説に300円も払うなんて方は、よほど物好きの方かお金持ちの方、そして自分の友人知人だけなのです。
せめて「面白かった!」というレビューがあれば買ってもらえるのかもしれませんが、今のところ読んで「面白かった!」という感想を届けてくれたのは、自分の二人の妹だけです。

5.レビューをお願いしてみる
世の中には個人出版されたKDP作品をわざわざ読んで、面白い作品を紹介してくださるという、とてもありがたいサイトを運営している方がおられます。
『きんぷれ!』様
http://kin-pre.com/
『つんどく速報』様
http://bookdi.gger.jp/
どちらも本の自薦を受けつけてくれていたので、自分はこちらの二つのサイトに本のアドレスを送り、レビューをお願いしました。読んで面白ければ紹介してくださるというシステムなので、面白くないと判断されれば紹介されることはないのですが、紹介していただけるよう祈っております。
※10/5追記:『つんどく速報』様は現在は更新が止まっている状況らしく、その後、新たに他でレビューではなく発売&キャンペーン告知をお願いしました。こちらは依頼後すぐに対応してくださりありがたかったです。
『電書ちゃんねるプラス』様
http://denshochan.hateblo.jp/
『でん速』様
http://densoku.publog.jp/

6.そして静かに待つ
他にもセールを行う、とにかく宣伝ツイートをするなど販促の方法はあるのでしょうが、まだ売り出して一週間なので、今は極端な行動に走ることなく様子を見ようと思います。今後、また何か動きがありましたら報告させていただきます。

ちなみに先日発売となった、あまり売れていない長編ミステリー『がらくた少女と人喰い煙突』はこちら。

売れなかったデビュー作の長編ミステリー『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』はこちらになります。
Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

売れていないですが、読んで「面白かった!」と思っている人が確実に二人(作者本人を入れれば三人)はいる作品ですので、どうか皆様、面白いと信じて読んでみていただければと思います。