やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

『バードマン』&マグリット展

今日は友達のT夫人と映画と美術館に行く約束をしていた。
六本木ヒルズで待ち合わせ、ビールと肉で昼食を済ませてからTOHOシネマズへ。

アカデミー賞を獲った『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を観た。
映像と物語に引き込まれる感覚がとにかく凄い。そして舞台に立つ主人公の「俺はどこにも存在していない」という悲痛なセリフが、本が売れない漫画原作者のハートを抉る。作品が読まれないと、作家は存在していないのと同じだ。
そんなメッセージを勝手に受信して暗黒な思いで観ていた映画だが、どんなに追い込まれても(現実と妄想の間を行ったり来たりしながらも)折れずに立ち向かう主人公の姿に、「意地でも舞台を降りない」ことが大切なのだと改めて気づかされた。現実と前(というか上)を向いたラストに救われた。

映画のあとは道端で売っていた小洒落たフルーツのお酒を飲んでから国立新美術館マグリット展へ。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2015/magritte2015/
一生のうちで、こんなに一度にたくさんのマグリット作品を観ることはあるだろうか、というくらいの物量だった。頭が痺れたので近くのカフェで一休みしてから東京バルAjitoで美味しい小皿料理を色々と食べつつビールやワインを飲む。そしてパッとしない仕事の話と上手くいかない子育てと家庭の話を長々と聞いてもらう。場所を変えて22時過ぎまで飲んで、愚痴を聞いてもらったお礼を言って駅で別れた。家に着いたのは日付が変わる頃だった。