やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

『呪怨』

『女囚霊』配信にともなう加藤山羊ホラーキャンペーン・おすすめホラー映画レビュー<4>

呪怨 [DVD]

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呪怨2 [DVD]

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Jホラーというジャンルの中で、『呪怨』はちょっと異端なんじゃないかと思っている。『リング』や『女優霊』ではホラーシーンの演出方法が“極力抑え込まれ、その結果…”という感じだが、『呪怨』の俊雄と伽椰子は映画の最初から最後まで、猫の鳴き真似をしたり天井から髪の毛を生やしたりと大活躍する。サービスが良過ぎるのだ。
ホラー映画を観て純粋に怖がりたいのであれば『リング』や『女優霊』の方がおすすめなのだが、「ホラー映画を楽しみたい」という場合なら間違いなく『呪怨』である。怒涛のような恐怖描写がもう楽しくて仕方がない(もちろんしっかり怖い)。自分は観客としてなら『リング』や『女優霊』の方が好みだが、作り手の立場としては『呪怨』を支持する。こんなやり過ぎなホラー映画を作る人は尊敬してしまう。
ちなみに漫画では『女優霊』的な抑え込んだ恐怖描写をすることがなかなか難しく(単なる分かりにくい描写になってしまう)、『女囚霊』のホラー演出については『呪怨』シリーズから結構勉強させて頂いた。昨年の冬、『女囚霊』のシナリオのために2日間に亘って深夜に一人きりで『呪怨』シリーズを観続けた成果が少しでも表れてくれていると良いのだが。