やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

自分のことしか考えない生き物は

今日は仲良くしているお母さん二人と一緒に昼ご飯を食べに行った。自分を含め全員が子供を療育センターに行かせているという面子のため、幼稚園のお母さん達とのランチに比べて濃い話が出来て、救われたし勉強になった。幼稚園のお母さん達には自分が精神科に通い始めたことなどは話していなかったのだが、今日はそのことも話せて気持ちが楽になった。
今日会ったお母さんの一人はいつも明るくて楽しい話ばかりしている人で、周囲のお母さんの中では唯一自分が漫画原作の仕事をしていることを知っていて、さらに『イノセントブローカー』を読んでくれた人(読みたいと言ってくれた。元々漫画が好きな人らしい)なのだが、彼女のお母さんがガンで、余命が3〜5年くらいだと初めて聞かされた。
彼女は半年前からお母さんと同居し、身の回りの世話をしているのだが、お母さんが結構難しい性格の人らしく「何回言ってもこっちの話聞かないし、時々山に捨てに行くか、自分が家出したくなる」、「あと何年かで死んじゃうから大事にしないとな〜とは思うんだけど、でも我慢出来ない時は我慢出来ないよ」と笑っていた。
彼女はとても優しい人で、前に自分が色々と悩みを打ち明けたことがあったのだが、その翌日突然手作りのクッキーを持って訪ねて来てくれて、クッキーを渡してそのまま帰って行った。その場で宗教に勧誘されることもなく、こんな人がこの世にいるなんてと驚いた。彼女と自分との大きな違いはきっとこの優しさで、優しくないから自分は弱いのだ、と何となく思った。