やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

抜かれた

午前中、歯医者に行って親知らずを抜いてきた。こんなふうにきちんと生えている歯を抜かれるのは初めてのことである。出掛ける前からさそうあきら先生の『犬・犬・犬』の拷問シーンを思い出し、憂鬱だった。歯医者に着いてからもあんまり表情が硬いので医者に「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」と励まされたほどだ。
丁寧に麻酔をかけられ、抜き始めたらまだちょっとだけ痛かったので神経質に右手を上げて合図して麻酔を足して貰う。それでも多少は痛かったが、とにかく痛みよりも歯を抜かれているという感覚がたまらなく嫌で、辛い経験だった。抜かれたあと、物凄くテンションが下がった。
薬局で痛み止めと抗生剤を貰う時、薬剤師に「初めて歯を抜いたんです。こんな嫌なものだとは思いませんでした」と饒舌に弱音を吐く。薬剤師のお姉さんは「可哀想」と言って、子供用のシールをたくさんおまけしてくれた。