やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

そうだ、小説の続きを書こう

自分は漫画家さんの“作品”を好きになることはしょっちゅうあるが、漫画家さん自身のファンになることはあまり無い。「この漫画家さんの作品は好きな物が多いから、好きだ」という程度のことを思うことはあるが、それはファンとは違う。
自分には、中学生の頃からファンで居続けているホラー漫画家さんがいる。
かなり特殊な作風の方で、当時思春期で「何で自分はこんなに気持ち悪い人間なんだろう」と悩み続けていた自分は、「自分のことを分かってくれるのはこの漫画家さんしかいない!」と思い詰めるくらい、その漫画家さんにやられてしまった。
大人になってネット環境を手に入れた時に真っ先に検索したのはその先生の名前で(ちなみに次に検索したのは「村崎百郎」さんだった)、先生のHPを見つけてからはずっとブログと掲示板を粘着に読ませて頂いていた。実は自分がサイトを持ち、日記を書き始めたのはその先生の影響で、日記の文体も先生の文体をパクっているありさまだ。
夏くらいに自分は、「担当さんが異動になってショックなので小説を書く」と宣言して小説を書き始めたが、小説を書くことを決意したのは、実際にはこの先生の影響がかなりあった。先生が、漫画のお仕事をしながら、小説を書き始めたのだ。
書き上がったものを断片的にブログにアップしておられたのだが、この小説は先生の作風そのままで、そうと知らずに読んでも「これは○○先生の作品に違いない」とはっきり分かる勢いで、作家性が反映されていた。
ストーリーを考えることは出来ても小説を書く勇気(が必要だと思う。最初の1本を書き出すには)が無かった自分は、「ああ、自然に書けば良かったんだ」と納得し、それからしばらくして上記のような経緯で小説を書き出したのである。しかし、最初の2枚を書いただけで、その後は今やっているホラー漫画の方に気持ちが行ってしまい、こんな風にブログの更新をしたり漫画読んだりテレビ見たりする時間はあるのに、小説の方は全然進まずにいた。
今日、シナリオを書き終わり、先生の掲示板をまた粘着にチェックしていたら、あの時書いていた小説を賞に応募したと書かれていた。その賞は、自分が小説を書き上げたらここに送ろうと決めていた賞だった。妙に嬉しかった。
プロットにOKが出たことで少し心に余裕が出来たことだし、これからあの小説の続きを書こうと思う。