やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

夫婦でプレゼントを贈り合おうか

クリスマスなのだが、自分と牛人間は二人とも12月生まれで、誕生日にはプレゼントを贈り合うため、「クリスマスはもういいだろう」ということで、子供が生まれたのを期に、クリスマスのプレゼント交換はしないことにした。
ところが、今年自分はまだ牛人間に誕生日のプレゼントをあげていないので、イレギュラーだがサプライズとして、昨晩、寝ている牛人間の枕元にプレゼントを置いたのである。あげようと思い立ったのが昨日の昼のことで買い物に出掛ける時間が無かったので、近所の知的障害者施設のバザーで100円で売っていたアディダスのトレーナーと200円の汚い色のパーカーを買い、スーパーの店員時代に培った包装技術で綺麗に包装したのだ。
朝起きると、自分の枕元には綺麗に包装された日本酒があった。サンタが来たらしい。
今年から息子は「クリスマスにはサンタさんがプレゼントを持って来る」という概念を理解しているので、「どうしてお父さんとお母さんにはプレゼントが無いの?」という余計な疑問を抱かせないために、牛人間が秘密裏に用意していたそうなのだ。ちなみに牛人間は自分からプレゼントを貰えると思っていなかったので、自身のためのプレゼントとして“綺麗に包装された玉ねぎ”を準備していた。
牛人間のくれた酒は見るからに怪しいパッケージで、正直あまり飲みたく無かった。


何しろ原材料も記されていないのだ。こんな表記は法律に触れるんじゃないだろうか。しかし、夜になって牛人間がこの酒を飲みながら映画を観ようというので嫌々ながら飲むことになってしまった。牛人間が「いつも飲んでいるのと比べてどう?」とやたら詳しく感想を聞いてくるので「何かちょっと水っぽい感じ。普段飲んでいる酒の方が好きかも」と答える。すると牛人間は満足気に、「実はそのお酒、中身はこれなんだよね」と、元々貼ってあったラベルを出してきた。

牛人間はこのラベルをはがして、自作したラベルを貼り付けていたのである。『景虎』は最近自分が気に入って飲んでいる酒で、「本当はこれの純米酒を飲みたいけど近くの酒屋には置いていない」と話していたものだった。純米酒は高いので晩酌用にすることに反対していた牛人間は、「普段飲んでいるお酒の方が美味しいんだから、無理にこっちを買う必要無いよね」と上機嫌だった。
美味い酒って、そう言えば水みたいに癖が無くて飲みやすいのだ。クリスマスプレゼントによって自分の味の分からなさを暴かれ、晩酌に純米酒を飲むことも出来なくなって本当に散々だが、これはクリスマスプレゼントを合計300円の古着で済ませた罰だろうか。