やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

『女優霊』

『女囚霊』配信にともなう加藤山羊ホラーキャンペーン・おすすめホラー映画レビュー<2>

女優霊 [VHS]

女優霊 [VHS]

『女囚霊』というタイトルを見たホラー映画ファンの方は、きっと思うはずだ。「『女優霊』のパクリ?」と。
自分はタイトルに対するセンスが著しく欠けており、この『女囚霊』のタイトルも、当初は塀の中の腕長おばけ』という非常に伝わりにくいタイトルを提案して、担当さんに首をかしげられていた。で、絶対そのままだと受けないだろうということで、必死で考えついたのが『女囚霊』なのだが、「それは『女優霊』に似過ぎだよなあ」と野良ヤギと一緒に却下したのである。
ところが、やっぱりセンスが欠けているのでその後も全く良いタイトルが思いつかず、追い詰められて「ホラーだと『○○霊』的なタイトルって一般的だし」と恐る恐るこのタイトルを提案したら、担当さんは『女優霊』を知らなかったのか、または別に気にしなかったのか、そのまま通ってしまった。
で、『女優霊』のレビュー。この映画は「幽霊の正しい在り方」を嫌と言うほど分からせてくれる。幽霊というのは“どうしてそこにいるのか理由が全く分からない”まま、“目の端にチラチラと映り込み”、そして“最後に○○○する”のだ。あのラストために、ずっと抑え込んだ演出をしていたのかと思うと作った人達は性格悪過ぎる。
『女優霊』は間違いなく怖い。これを観たあと、自分は今まで見たことのなかった幽霊を見てしまいそうな気がして、しばらく暗闇が見れなかった。そういうスイッチの入る映画のように思える。更に自分は、主人公のあの屋根裏の記憶が「自分が経験したこと」のように思えるというスイッチまで入ってしまい、もう一回『女優霊』を観たら確実に病気になりそうなのでもう怖くて観れないという本当に恐ろしい映画なのである。