やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

まだ先は長いのですが進んでおります

今日は小説の担当さんと打ち合わせがあった。
自分は昨年の夏から《一か月に一本の短編描いて提出し、10本揃ったところでそのうちの4〜5本の使える短編を選んで短編集として出す》という目標に向けて修業を続けていた。
そして子供が夏休みだろうが冬休みだろうが夫が椎間板ヘルニアで入院しようが、『あいの結婚相談所』の連載とホラーの新連載の企画と並行して月末の締切を一度も破ることなく、この5月で10本目を達成した。自分しか褒めてくれないので褒めておくが、よく頑張ったね、と思う。
それで今回の打ち合わせでどの短編を収録するか、という話になる予定だったのだが、提出された作品から短編集を作るにあたって、二つほど問題が出てきた。そのうちの一つが「どれもこれも描写が雑」という点だ。
自分の書く文章は一人称視点で、その視界がとても狭くなっているらしい。そのため、例えば不意に出てくるセリフを誰が言ったものなのか、視点人物と他の登場人物とがどんな関係にあるのか、など、基本情報となる部分をはっきり書かない癖があるのだ(自分が視点人物となって書くので、作者である自分は分かっていても読む人は全然分からない、という説明不足な部分がよく出てくる)。こういう点は、ミステリーを書く時には特に注意して分かりやすくしておかないといけないのだそうだ。
さらに視界が狭いせいで登場人物の置かれている場所や状況が伝わりづらく、そこはもっと俯瞰で丁寧に描写しなくてはいけないとのこと。まあ、その辺がかなり力不足なので、しっかり直さなければいけないということだった。
そしてもう一つの問題が「仕掛けや主要人物の関係や小道具が微妙に被っている作品が多い」ということだ。
短編集とするためには、その中で「似ている」と思わせる作品があってはならないので、例えば自分が書くパターンに多い「子供が酷い目に遭う」、「姉妹の仲が悪い」、「○○と思わせておいて実は○○だった」みたいなのが重なり過ぎてはいけないのだそうだ。
とりあえず4作品までは「似ていない」ものを選び出せたが、残りはどこかが微妙に被っていて使えなそう、とのことで、今までと雰囲気も状況も全く違う話を一本、新たに描かなくてはいけなくなった。
10本書き終えたことで勝手にやり遂げた気持ちになっていたので「もう一本か…」と少し凹んだが、でも新たな一本を描いて、その他の作品をきちんと直すことで確実に前には進んでいくのだから、とにかく地道に頑張ろうと思う。