やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

H君みたいな人の気持ちはよく分かる

古本屋に本を買いに行く。会計していると、レジの中に店員達が集まっている。何かトラブルがあったようだ。見るとカウンターの前に不機嫌そうな客が一人いて、店員達の話の内容によると、どうやらこの人が本の査定を頼んだのに、査定もしていないし、預かった本がどこに行ったか分からない、その上、査定の受付票を客に渡すことすらしていないという、かなりのミスが起きているらしい。
店員達がみんなで「誰が受けたんだ」という犯人探しをしている中、一人だけ、20代後半くらいの痩せた男の店員が、テンパッた様子で査定中の本の棚の前にしゃがみこんで何かを探している。店長が彼に「H君さあ、何か知ってんの?」と尋ねるが、H君は「あ、いや…」としか答えず探し続ける。その様子を暗い目で見ている他の店員達。
胸が痛くて耐えられなかったのでH君がどうなったかは見ずに帰った。