やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

「味方なしか!!」(Ⓒ福満しげゆき先生)

6時50分起床。雪。朝食はトースト、ウインナー、バナナ、コーヒー。
食後、洗い物をしていると牛人間が起きて来て、レバーの燻製を作るからと下ごしらえを始めた。そして洗い物をしている自分に深刻な顔で「最近毎晩のようにお酒飲んでるよね。君が飲んでるところ見ると凄く嫌な気分になるんだけど」と言い放った。
自分は酒飲んで美味しい物を食べながら面白い本を読んだり映画を観たり友達と馬鹿話をする以外にストレスの解消法を知らない。ウォーキングとかアロマとかヨガとかゆったり入浴するとか、もっと素敵にストレス解消が出来たら良いのだが、そのどれもが自分にとっては「面倒臭い」という点でハードルが高いのである。
今の自分は仕事をしたくても子供達が騒いでいたり子供のケンカの仲裁や食事の支度や幼稚園関係の雑事でなかなか落ち着いて仕事をする時間を作ることが出来ない。片付いた部屋で快適に暮らしたくても、子供達と牛人間は部屋を散らかすことしかしない。ストレスだらけの生活の中で唯一の楽しみである飲酒を配偶者に「凄く嫌な気分になる」と言われたことで、もう家族の誰も自分の味方ではないんだ、と極端なまでに辛い気持ちになった。何しろ病気なので。
午前中、牛人間は雪の中ガレージで燻製を作り始め、子供達は教育テレビを見ていた。自分は辛い気持ちを引き摺りながらもYのコンペに出すためのプロットを書く。昼食は子供達と牛人間は餅を焼いて食べていたが自分は辛いので食べる気になれず仕事をしていた。
12時半、今日は幼稚園で子供達が作った工作を展示した作品展があるので家族全員で見に行く。息子と長女が描いた絵や工作を一通り観て回って写真を撮って14時前に帰宅。その後はまたプロットの仕事に戻る。夕食は子供達と牛人間はインスタントラーメンを食べていたが自分は相変わらず辛い気持ちで食欲が無く、何も食べられなかった。そして19時半、辛い気持ちが最高潮に達したので雪が降る中、無言で家出する。
道路が雪で白くなっているのが青森の道を歩いているみたいで、青森に帰りたい、自分の味方は青森の家族だけだと、どんどん悪い方向に気持ちが落ちて行く。足が冷たくなるほど歩いて、しかしこのまま歩いていてもこの時間から青森には帰れないし、自分の家族は今は横浜の子供達と牛人間で、それはもうどうしようもないんだと思えてきたので諦めて自宅に帰る。帰りにスーパーでタコの刺身とボイルエビとレタスを買った。
子供達はテレビを観ていて自分の家出に気付いていなかった。風呂に入って子供を寝かしつけたあとはタコとエビとレタスのサラダを作ってそれをつまみにワインを飲みながら録画の『レベルE』や『シロウト名鑑』を観ていた。牛人間は自分の家出に気付いていたので酒を飲むことについては何も言わなかった。今日はテレビを観ながらそのままコタツで寝てしまう。多分0時頃就寝。