やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

作者による、作者のための販促

昨日、野良ヤギから電話が来て、「単行本の販促活動として、直筆のPOPを置かせて貰えないか、仙台(に住んでいるのだ野良ヤギは)の本屋さんにお願いしてみる」と言われた。あと2週間程で、自分達の初めての単行本『イノセントブローカー』が発売になるのである。
売れている作家さんなら出版社の方で販促用のPOPを書店さんに届けてくれることもあるらしいが、新人の自分達にそんな恵まれたことは起こらないだろう。だから作家が独自に販促活動するしかない。
野良ヤギは「家ヤギも、近所の本屋さんに頼んでみたら?」と言う。しかし、全国には1万店舗以上(くらいはあるの?)の書店があるのに、手作業でPOPを作るとかそんな地味なことで本当に販売促進になるのだろうか、と、自分はちょっと後ろ向きな姿勢だった。第一、大人の会話が出来ない自分が、知らない人に電話して「作者なんですがPOPを置かせてください」なんて大それたことを頼めるだろうか。
すると野良ヤギに「そうやって恥ずかしがってて得することは、何もないからね」と強い口調で言われた。そしてその電話のあとすぐ、野良ヤギは仙台の大きな書店さんに作者だと名乗ってPOPを置かせてくれるように頼み、OKを勝ち取った。
そんな風に自分の作品を大切に売ろうとしている野良ヤギが偉いなあと思ったので、今日、自分は「発売前に間に合うようにだったら、最高で何枚POP描ける?」と野良ヤギに確認し、「丁寧に描いたイラストを入れるならこれくらいは・・・」と答えたギリギリ上限の数の全国の書店さんに電話をかけまくった(知らない人とお話しする時特有のテンパったトーンで)。そして大体のお店で了解を頂けた。
さすがに全部を野良ヤギにやってもらうのは負担が大きいので半数くらいは自分が字だけ担当することになったが、そういう訳で、あなたの街の本屋さんに加藤山羊の直筆POP付き『イノセントブローカー』が並ぶかもしれないので、7月30日(水)にはお近くの本屋さんをぜひ覗いてみてください。そしてそのPOPの字が異様に下手だったら、それは多分家ヤギが書いたものです(POP置いてくれる書店さん、はっきりしたらこのブログで紹介させて貰います)。