やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

お中元が来なくても、それでも地球は回っている

夏休み初日だが子供をどこかへ連れて行ってやることもなく、ひたすら家に籠ってシナリオの直しをやっていた。子供達は風呂場で水遊びをしたり『崖の上のポニョ』のDVDを観たりとあまり面倒を掛けずにいてくれたので、午前中で3分の2以上のところまで直しを終わらせることが出来た。
しかし午後になって自分は、「そう言えば今年、まだS学館からお中元が来ていないなあ」という今気付かなくてもいいようなことにふと気付いてしまったのである。去年は確か7月の上旬にはジュースの詰め合わせが届いていた。既に7月の下旬である。遅れているとは考えにくく、もしかして……と他のS学館の作家さんのブログをチェックしてみたら、その方はちゃんと上旬には届いていた。
つまり自分は今年から、S学館のお中元を送る作家のリストから外されたようなのだ。確かに去年の夏に『女囚霊』がモバMANで配信されてからは今年の6月に読み切りが載っただけで、連載を持っていない。出版社に貢献していない作家という扱いなのだろうが、こんな風に露骨な形でその事実を突き付けられると図々しい中年の自分もさすがに凹みますよ。
ここで気持ちが落ち込んだことで1時間ほどをロスしたが、お中元が来なくてもやることはやらなければいけないので頑張って直しを続けた。出版社的にはお中元も送りたくないような作家がコンペにネームを出したところで迷惑なだけなのかもしれないと考えると胸がドキドキしたが、頑張って終わらせた。
で、加藤先生に直したシナリオを送ってOKを貰ったあとで、「今年お中元来なかったねえ」と悲しみを訴える。健常者の加藤先生は「途中で担当さんが変わったりしてるし、うっかりリストから漏れただけかもしれないよ。単行本も出して貰えるんだし切り捨てられることは無いって」ともっともなことを言って励ましてくれたが、精神が健常でない自分は「もうお歳暮も貰えないし謝恩会にも呼んで貰えないんだよきっと」とあくまでネガティブな姿勢を崩すことはなかった。
まあそういう恩恵を受けることよりも作品を載せて貰えることが一番大事なので、そっちの方で切り捨てられることがないようにこれからも良い漫画を作っていこうと思う。大好きな伊藤園のジュースは自分で買って飲もうと思う。