やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

近況報告と今後のことと富士山に登る長女

自分は隔月の連載が一本あるだけの無職すれすれの漫画原作者だが、だからといって、あまり暇ではない。むしろ仕事を増やすために色んなところに営業をしなくてはいけなくて、その営業活動というのが、なかなかに手間と時間が掛かるのである。
元々付き合いのある出版社の方から「こういう企画をやりませんか」と声をかけていただくこともあるし、こちらから「こういう企画がありますけど」と持って行くこともある。現在、自分が抱えている新連載の企画は、隔月連載狙いのストーリー漫画が1本、月刊誌またはWEB媒体での連載狙いのホラー漫画が3本、週刊連載狙いのストーリー漫画が1本、小説の単行本の企画が2本という状態で、それぞれプロットやシナリオ、原稿を提出しては意見をもらって直し、《企画が会議に通って連載が決まる(または単行本化が決まる)》という状態を待っていた。
これらのうち、決まると一番忙しくなるが作家として一番テンションが上がるのが週刊連載なのだが、まさにその企画が、昨日の打ち合わせで「通りました」と言われた。
正直、今でもちょっと信じられない。
そもそも、この企画が始まったのは去年の冬、TwitterのDM経由で「あなたの『○○』という作品を読んで気に入ったので今度打ち合わせしませんか」と、一度も仕事をしたことのない雑誌の編集さんから誘ってもらったのがきっかけだった。Twitter経由で仕事の話が来たのは初めてで、今時はそういうものなのかと打ち合わせをした。
最初は『○○』に似たサスペンスホラーの企画を出したのだが、編集長が「この人はもっとメジャー寄りの話を書かせた方が向いていると思う」という意外なアドバイスをくれて、気持ち悪い話や面倒な話ばかり書いてきた自分には珍しく、分かりやすい話(しかし若干気持ち悪い)を書いてみた。それを作画の方(この企画は加藤山羊とのコンビではない)にネームにしてもらって提出し、返事を待っていたところ、そのネームの第一稿で企画が通ってしまったそうなのだ。
経験上、ネームになってからも何度も修正が入るものと思っていたので、「本当に通ったんですか」と3回くらい担当さんに確認したが、本当に通ったそうだ。
それから具体的な連載の開始時期の目標を聞かされ、それまでにシナリオを何本用意するか、などの指示も出て、まるで本当に企画が通ったかのように話は進んでいる。
しかし、自分は「ほぼ決定です」と言われていた映像化の話が消えるという奇跡を起こす人間なので、雑誌に連載開始の予告が載るまでは決して油断せず、平常心で連載の準備を進めて行こうと思う。
ここまで、長々と書いたが「近況報告」終わり。続けて「今後のこと」を書く。
自分はもちろん週刊連載など初めての経験で、今と比べてどれくらい忙しくなるのか、一話のページ数などを元に、作業量を計算してみた。結果、連載の原稿を書くという点で、今の4倍くらい忙しくなるようだ。
その上で、進行中の企画も投げ出すわけにはいかない。上手く進んでいない企画についてはある程度整理する必要があるが、すでに何度も修正を重ねてきた企画や、どうしても形にしたい思い入れのある企画もある。4倍くらいの忙しさで原稿を書きつつ、さらに新連載の企画を同時進行でやっていかなくてはいけないのだ。こんな長文のブログをのんびり書いている場合ではない。
そういう事情なので、今後、このブログは今までのような《朝起きてから寝るまでのことを書く》という偏執的な形ではなく、要点を絞って書いていく。例えば今日のことを書くとしたら、以下のようになる。
今日は以前からの計画で、夫が小5の長女を連れて富士山に登ることになっており、4時前に起きて車で静岡に向かっていった。塾のある小6の息子と富士山に登る体力のない小3の次女、その二人の面倒を見なければならない自分は留守番である。

7時、これから登るという写真が届く。
午前中は洗濯とゴミ捨てをして、ゴミ箱が汚れてきたので外でホースで水をかけて洗って乾かす。そしてブログの更新のあと、ホラーの企画のための資料本を読む。
昼食はチャーハンを作って食べさせ、息子を塾に送ったあとはブログの更新の続き。書き始めてすぐ、夫からまた写真が送られてくる。

ここが9合目くらいだそうだ。
頂上は携帯の電波が入らないため、このあとしばらくメールが途絶え、15時頃、下山中だという写真が送られてきた。

長女はカメラを向けると必ずピースサインをするようだ。
夫と長女の帰りは夜になると思われる。自分はこのブログの更新を終えたら資料の続きを読んで、息子を塾に迎えに行ってから。ホラーの企画のプロットを書く予定である。
以上、9/3のブログ「富士山に登る長女」でした。