やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

それでも書く

しばらく調子が良かったのだが、先週、久々にうつにやられていた。原因ははっきりしていて、ある作品を、本来自分が考えていたのとは違う形で書かなければならなくなったためだ。
自分はこれまで、わりと自由にお話を書かせてもらってきた。もちろん編集さんに意見されて修正することはあるが、それは全て「確かに直した方が良くなる」と納得して直していた。
しかし今回、どうにもできない事情があって、自分の思う《最高》ではないお話を書かなくてはいけなかった。
《最高》ではないけれど、この状況でできる《最善》のお話にしようと、自分なりに頑張った。そして《最善》と思えるプロットができて、編集さんもそれでシナリオにして良いとOKを出してくれた。
だが、パソコンに向かっても、書く力が湧いてこない。いつものような集中力が保てず、少し書いては休み、また少し書いては休む、という状態で仕事が進まない。仕事が進まないことで、「どうしてできないんだろう」と、気持ちが沈んでくる。そしてますます書けなくなる。結局、3/6の火曜日から金曜日まで掛かって、全体の三分の一しか仕事が進まなかった。
週末は長女の卒業袴の着付け教室、柔道の稽古、試合と忙しく、仕事はできなかったのだが、日曜日の娘達の試合での頑張りのおかげで、「自分も頑張らなくては」という方向に気持ちを持っていけた。
やっぱり集中力は落ちていたが、「それでも書くんだ」と自分に言い聞かせて休まず書いた。書きながら、「本当はこんなふうに書きたかった」という残念な気持ちも湧いたが、その気持ちに蓋をして書いた。そうしてシナリオを完成させた。
《最高》ではないかもしれないが、きちんと面白い、《自分の作品》が仕上がった。
いずれ、このお話は人に読まれることになる。読んだ人に残念な気持ちにだけはなって欲しくない。だから精一杯、読者の方に満足してもらえるような物語を書いたつもりだ。
自分の仕事は終わってしまったので、あとは祈るしかできない。どうかこの作品が、皆さまに楽しんでもらえますように。