昨年4月に出版されたミステリー短編集『夫の骨』の表題作「夫の骨」が、第七十三回日本推理作家協会賞短編部門の候補作となりました。
選んでいただけて、本当に光栄です。ありがとうございます。
こちらの賞の存在はもちろん知っていましたが、短編部門の対象となるのは雑誌に掲載された作品だけだと思っていたので、連絡をいただいて驚きました。
すでに発売された短編集から、しかも文庫書き下ろしの作品から選ばれるというのは、相当珍しいのではないかと思います。なので選んでいただけただけで、これは凄いことが起きたとドキドキしています。
「夫の骨」はかなり以前に手掛けた作品で、書き上げたのは2014年の10月のことでした。
自分は小説家としては2012年にデビューしたのですが、そのデビュー作がまるで売れなかったために2作目を出すことができず、その後は出版する当てのない状態で小説を書いていました。
出す当てもないのにデビュー作のシリーズ2作目の長編を勝手に書き、その一方で短編を書いて投稿し、再デビューを目指したりもしました。
『幽』怪談文学賞短編部門に応募して、審査員だった京極夏彦先生に作品を読んでいただけて感激したのですが、まさかその京極夏彦先生が日本推理作家協会の代表理事になられて、今回のような嬉しいお知らせをもらう日が来るとは思ってもみませんでした。
応募した短編は最終選考で落ちてしまい、再デビューは叶いませんでしたが、それでもいつか作品を世に出すことができると信じてミステリー小説を書き続けてきました。そして2作目として出した長編はあまり売れなかったものの、3作目の短編集『夫の骨』は初めての重版となり、たくさんの方に読んでいただくことができました。
『夫の骨』は、書評や特集記事で取り上げていただいたり、コーナーを作って売っていただいたりと、多くの方に応援していただいたおかげで、さらに多くの方に届いた作品でした。
作品を世に出すために支えてくださった皆さま、読んでくださった皆さま、応援してくださった皆さまのおかげで、このような名誉ある賞の候補に選ばれるところまで押し上げていただけたのだと思っています。
これだけで自分は充分に嬉しくて幸せなのですが、来月、さらなる嬉しい結果が得られたら、応援してくださった方々への恩返しにもなると思うので、そうなるように祈ります。
皆さま、改めて、本当にありがとうございます。