やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

『妻は忘れない』発売

f:id:ieyagi:20200925144241j:plain

矢樹純の最新ミステリー短編集『妻は忘れない』が本日、新潮文庫より発売されました。文庫版と電子版のどちらもお求めいただけます。

妻は忘れない (新潮文庫)

妻は忘れない (新潮文庫)

  • 作者:矢樹 純
  • 発売日: 2020/10/28
  • メディア: 文庫
 

 「夫の骨」の日本推理作家協会賞短編部門の受賞後、第一作となる短編集ですが、書き上げたのは5月のことでした。コロナ禍で漫画原作のスケジュールが延びたおかげで予定より早く原稿を上げることができて、改稿に充分な時間をかけることができました。
柔道ができなくなったり、子供の学校行事が中止になったりとコロナに対しては腹の立つことばかりですが、この作品の完成度が上がったことだけは、まあ良かったと言えます。

前回の記事でも書きましたが、この『妻は忘れない』は自分の作家人生で初めて、「書いてほしい」と依頼を受けて完成させた作品でした。

yagijun.hatenablog.com

昨年の8月に『夫の骨』を読んだ編集者の方からホームページ宛にメールをいただき、最初の一編を書き上げたのは12月のことでした。
『夫の骨』を超える作品を書かなければと力が入ったために要素を盛り込みすぎて、その上、ラストで息切れして急ぎ足になってしまい、一作目から結構な直しになりました。

漫画原作の仕事では嫌と言うほどリテイクを食らってきましたが、実は小説についてはあまりリテイクになったことがなく、編集者さんに意見をもらいながら改稿するという作業は、本当に得がたい経験でした。
収録された5編とも、頭が痛くなるほど考えて、何度も直して、最後の最後まで苦労しましたが、この作品を通して成長させてもらえたと感じています。

解説は千街晶之さんに書いていただきました。自分がまったく売れていない頃から、その売れていない著書を取り上げて紹介してくださった千街さんに受賞第一作となる今作の解説を引き受けていただけて、本当に嬉しかったです。

小説家としての矢樹純は『夫の骨』で知ったという方が多いと思うのですが、この最新刊『妻は忘れない』は『夫の骨』を気に入ってくださった方を、絶対に読んで後悔させません。

より濃密で、より刺さり、確実に予想を裏切られると思います。

どうか安心してお買い求めください。