やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

出産予定日

12月9日。今日が産婦人科で言われていた出産予定日である。天気は曇り。
病院で出た朝食はご飯と味噌汁と納豆、キャベツのおひたしとツナと豆腐の和え物。全体的に不味かった。
朝の回診ではまだ子宮口が2cmしか開いておらず、今日の夕方に子宮の入り口に水風船を入れ、その刺激で陣痛を起こそうということになった。ここの病院はなるべく自然な形でのお産をさせる主義らしく、「もしそれでも陣痛が起きなかった場合は、明日の朝に陣痛促進剤を飲みましょう」と言われた。私は薬でも何でも使って早く産ませて欲しかったのだが。
困ったことに今晩、夫の両親と私の家族が会食をすることになっている。本当だったら夫の両親は子供が産まれてから来るはずだったので、「無事に赤ちゃんが産まれてお互い良かったですね」という食事会になる予定だったのが、こんなことになってしまって相当気まずいのではないだろうか。
夕方の処置まではどうせ病院にいても暇なので外出させてもらった。歩き回った方が良いのだからとデパートを息子を連れて歩き回り、昼食も外で済ませた。昼過ぎに実家に戻ってシャワーを浴び、一人病院に戻る。そして手術室で子宮口に水風船を入れられた。
水風船を入れてしばらくすると、これまでとは違うパンチの効いた痛みが下腹部に来た。とうとう陣痛が起きた、とホッとする。痛みは15〜20分おきくらい。まだ我慢できる程度の痛さなので、お産が進むようにと夜までまた病院の中を歩き回る。歩き回る合間に卵焼きの野菜あんかけなどの夕食。家族や夫は料理屋で美味しいものを食べているのだろうが、私は貧相な夕食を食べ、薄暗い病院の中をウロウロと歩き回っていた。
11時、さすがに疲れてきて休むことにする。陣痛は5〜10分おき。痛みはまだそんなに強くない。ベッドに入ったところで母から電話が来た。
食事会は無事に終わったが、その席で「陣痛促進剤は危険だ」という話が出たらしい。母は「明日になっても生まれなかったら陣痛促進剤を使うって言ってたけど、もしそうなったら薬使うんじゃなく退院しなさい。むこうのご両親もその方が良いって」と言った。
もし退院なんてことになったら、夫の両親はわざわざ岡山から青森まで来たのに一旦帰らなくてはいけない。それは気まずいどころの話ではない。一瞬物凄く不安になったが、しかし陣痛は来ているのだから大丈夫だろう。電話のあと、ベッドに入って陣痛の時間を計りつつ本を読む。