やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

悪徳不動産屋と交渉を試みる

冗談じゃなく悪徳不動産屋であることが判明したTさんが、今日の夜、住宅ローンの説明をしに家に来る約束になっていた。それはもちろん契約することが前提の話だが、一昨日Tさんの大嘘が発覚し、自分と牛人間はこのまま話を進めて大丈夫なものか、非常に迷っていた。
普通なら客を騙すような店から買い物はしたくないが、不動産は特殊な買い物だ。全く同じ条件の物件というものが無いので、客がそれを気に入ってしまったら、ある意味その時点で負けのようなものなのだ。こちらには「あの土地を手に入れたい」という弱味がある。対して不動産屋は、もし自分達に買って貰えなくても他の客に売ればいいだけだ。
Tさんが来る前に牛人間と打ち合わせをし、とにかく値引きをさせよう。値引きが無かったら買うのを止めよう。と決心した。あの土地は欲しいが、嘘を付いた人間に何のペナルティも与えずに買ったらそれはさすがに悔しい。
Tさんは夜の8時過ぎに来た。まず、Tさんの嘘について、どういうことなのかと突っ込んでみる。Tさんは「土地の売主と僕は仲良しなので、好きな方法で売って良いと言われてああいう建築条件付きという形にしました」とマジメな顔で言ってのけた。建築条件は売主が付けるものなのだ。仲介の不動産屋が付けるものではない。それなのにそういう売り方を黙認している土地の売主も、やっぱり悪徳なのだろう。
Tさんに「騙されて気分が悪いから土地を値引きしないなら買いません」と単刀直入に言った。しかし、Tさんは「土地の売主は値引きに応じないと思います」と言う。考えてみれば、自分達を騙したのはTさんであって売主ではないのだから売主に値引きする理由は無い。実際自分達が買おうとしている土地の他の区画は売り出してすぐに買い手が決まっているような状況で、売主は自分達が買わなくても間違いなく他の客に売れるだろうから全く困らないのだ。それに土地の値段というのは大体適正価格が付いているので、ただでさえ値引きして貰うのは難しいのである。
しかしそれで引き下がる訳にもいかない。「あの土地は欲しいけど、騙されていたことが分かった以上そのままの条件で買うことは出来ません。でも本当にあの土地は欲しいので、何とかこっちの気が済むような感じにして下さい」と少し低姿勢で頼んでみた。Tさんは散々渋っていたが、1時間半近く話し合った上で

  • Tさんの不動産屋の手数料を65%引きに値下げする
  • Tさんが売主にダメ元でいいから値引きの交渉をする

という条件を飲ませることが出来た。翌日Tさんから連絡が入り、結局売主は1円も値引きに応じなかったとのことだったが、一応こちらは自分を納得させることが出来た。明後日、契約に行くことになった。