やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

因果な野鳥の死

雨の中、家族で買い物に出掛けた。よく行くショッピングセンターだが、今日はあまり通ったことのない裏道を走っていた。曲がり角に差し掛かり、牛人間が「あれ?ここで曲がるんだっけ?」と呟いた。自分は「いや、もう1本向こうだよ」と根拠は無いが自信たっぷりに言い切った。もう1本向こうの曲がり角を曲がると、見たこともない公園の横に出た。
正しい道に出るために信号待ちをしながら牛人間に「やっぱりさっきの道で良かったんじゃない」などと文句を言われていると、不意に公園の方角から、雀よりは大きく、鳩よりは小さい野鳥が飛んできて、うちの車の運転席側のドアに留まろうとした。しかし雨で滑る上に足を引っ掛ける場所も無いので、野鳥は必死に羽をバタバタしながら運転席側の窓を引っ掻いたあと、車道に落ちた。そして数秒後、信号が青になった。
何となく嫌な予感がして、窓を開けて路上を確認しようとしたが間に合わず、牛人間は前の車が進んで行く流れで発進してしまった。右後輪に何かを踏んだような感触があり、振り返るとさっきの野鳥が潰れていた。牛人間に「自分が間違った道を教えなければ、あの鳥は死ななくて済んだね」と言うと、「本当にその通りだね」と言われた。