やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

裁判を傍聴する

5時20分起床。弁当を作り、子供を起こしてから2.6kmのランニングに出かける。昨日長い距離を走ったせいか、妙に体が重い。寝る前にストレッチをしたのだが足りなかっただろうか。

洗面台の掃除をしてごみを捨てに行き、メルマガを書く。いつもより早めの時間に洗濯と朝食を済ませ、子供の参観日でしか着たことのないスーツに着替えて横浜地方裁判所へ向かった。今日は取材として、ある裁判を傍聴した。

傍聴を趣味とする人の本を読んだことはあったが、自分が傍聴をするのは初めてだった。入り口で所持品の検査を受けてから、その先の掲示板で自分が傍聴したかった裁判の開廷時間と開廷場所となる法廷を確認し、エレベーターで向かう。開廷の30分前に着いたのだが、傍聴人入口の前には既に20人近くが並んでいた。

今は感染防止のために間を空けて座ることになっていて心配だったが、一つ空きでも30人は入れる席数があって前の方に座れた。検察、弁護人と徐々に人が入ってきて、時間になったところで裁判官と裁判員が来て裁判が始まる。

話の内容や裁判の流れなど、細かくメモを取りながら傍聴する。被告人が着席したあとに裁判官が「手錠を外してください」と指示をして初めて手錠が外されること。検察官はなぜか証拠品や書類を風呂敷で包んで持ってくることなど、実際にこの場で見なければ知らなかったことがたくさんあった。

冒頭陳述と証拠説明が半分ほど終わったところで正午近くなったので昼休憩が入る。裁判所近くのドトールミラノサンドBとアイスコーヒーで昼食を済ませた。

午後は証拠品説明が終わったあと(検察に比べると弁護人の証拠品は少ないので短く済んだ)、被告人質問となる。これが一番長く、弁護人、検察2名、裁判員6名、裁判官3名の全員が質問をした。これらの全てに被告が答えたところで閉廷となる。時刻は16時近くになっていた。

冬から始まる連作短編の連載で犯罪をテーマにしようと考えていて、今日の取材はそのためだった。傍聴していて、ある瞬間に思わず声が漏れそうになるほど心が揺さぶられ、自分の書きたいものはこれだ、という確信が得られた。

裁判所を出てからまたドトールに入り、書きたいと思ったものについて、どうやって面白く見せるかを考える。こんな熱を持って書けるテーマに出会えて幸せだ。おそらく今日、この裁判を傍聴しなければ得られなかった。運命のようなものを感じる。

買い物して夕方に帰宅。今月掲載されるホラー短編の再校ゲラが届いていたので確認して返信する。夕飯は夫がレバニラ炒めを作ってくれた。

夜は子供達と七夕の笹を飾って短冊に願い事を書き、注文していた岡崎琢磨さんの『夏を取り戻す』(創元推理文庫)が届いたのを読み始める。

仕事終わりの夫に今日の裁判の話をして23時就寝。

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