やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

裁判傍聴と『犯罪者』と

5時20分に起きてお弁当を作り、子供達を起こしてからランニングへ。2.6km走ってきて掃除機をかけたあと、洗濯と朝食を済ませる。そしてコーヒーを淹れる暇もなく身支度して家を出て、横浜地方裁判所へと向かった。

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今日は小説推理で連載中の法廷ミステリー『不知火判事の比類なき被告人質問』の第四話の取材として、丸一日裁判を傍聴する予定だった。事前に今日開かれる公判を調べ、この事件にしようというのを決めてあったのだが、裁判所に着いてみるとテレビ局の車がたくさん並んでいる。公表されているのは事件の罪名だけなので分からなかったのだが、自分が傍聴しようと思っていた裁判は実はとても有名な事件のもので、傍聴券の交付はすでに終わってしまっていた。

だが、どちらかというとその有名な事件は自分が傍聴したい内容ではなかったので、改めて掲示板を確認して別の事件を選ぶ。すでに開廷していたのだが、廊下に傍聴に慣れた感じの人がいたので途中から傍聴して良いのか尋ねると「ドアについてる小さな窓から覗いて席が空いてたら入って大丈夫」と親切に教えてくれた。

小さな法廷だが一つだけ空いていた席があったので傍聴する。これがまさに自分が今回傍聴したいと思っていたような事件で、巡り合わせに感謝した。休憩を挟んで昼過ぎまで傍聴して、一旦裁判所を出て近くのドトールでお昼を食べてから、午後は別の裁判(もう一件気になっていたのがあった)を傍聴する。

こちらは法医学者が弁護側の証人として呼ばれて、検察側が証拠として提出した司法解剖の鑑定書について意見を述べるという局面だった。かなり興味深い内容でたくさんメモを取ったが、審理はあまり進まなそうなので、しばらく傍聴してまたさっきの法廷に戻る。

午前中からずっと証人尋問が続いていて、しかも昨日の審理でもその証人が証言していたと分かり、こんなに長く一人の証人を尋問するものなのかと驚いた。弁護人と検察官からの質問に加えて、最後に裁判官からも質問があり、今日は一日証人尋問だけで終わってしまった。だがその内容がとても濃かったので、取材としては充分以上だった。

事件のことや証人のこと、被害者や被告人のことなど、色んなことを考えながら帰る。途中、スーパーで買い物をして、帰宅したのは19時過ぎだった。子供達は昨日のシチューを温めて先に食べていた。

お風呂に入ったあと、夫と夕食をとりながら今日の裁判のことを話し、食後は太田愛先生の『犯罪者』を読む。

惹きつけられる展開に加え、登場人物のキャラクターやセリフがとても生き生きしていて魅力的で、とにかく凄く面白い。太田愛先生の小説を読むのはこれが初めてなのだが、脚本家(ドラマ『相棒』の脚本などを手がけておられる)なのにどうしてこんなに文章が上手いのか。

面白い、と思うたびに手が止まり、その面白さについて分析してしまうのでゆっくりしか読めないのだが、こんなに学びの多い作品は久しぶりだ。ベッドの中でも読み続け、23時半就寝。

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