やぎのくらし

小説家で漫画原作者の矢樹純のブログ

呪われた物件

8時過ぎに起床。雨。昨日の出来事は夢ではなく、家の中は重い雰囲気だった。
午前中、自分は病院へ行く。少し前から体調が悪く、今日は牛人間に有休を取って貰って子供を預け、検査を受けることになっていた。病院に行く途中、例の中古物件を改めて見てみたが、薄汚くて暗くて気持ちが悪かった。ここに住むことになると思うと吐き気がする。今日が雨じゃなかったら放火してやりたいくらいだ。病院の検査の結果、とりあえず大した問題は無く、様子を見て症状が続くようならまた行くことになった。医者に血圧が低いことと脱水症状を起こしていることを指摘される。
帰宅して水飲んで昼食。子供を昼寝させたあと、牛人間と家のことについて話す。昨日よりは自分も冷静で、とりあえず日曜日に家の中を見せて貰うにしても、下調べをしておいた方が良い、ということに思い至った。それはあの家が1回売れたあとに再度売りに出されていたという点である。
この理由は悪徳不動産屋のTさんに聞けばある程度分かりそうだ。不動産屋達はそういう情報を共有しているし、それが都合の悪い情報だったとしても、この物件に関してはTさんは売る気が無いのだから隠しはしないだろう。早速Tさんに電話してみると「調べて折り返します」とのこと。しばらくして、Tさんから連絡が入った。
「まだ理由の方までは分かっていないんですが、あの家がキャンセルになったのは1回じゃなくて2回でした。今詳しいことを聞いて回ってるんで、分かったらまた電話します」
売れたあとにキャンセルということは、買った側は50〜100万円の手付金を放棄している。2人もの人間が、それだけの金を捨てることになっても家を買えないような理由とは何だろうか。占有屋が住んでいて立ち退き料を要求してくるのか。実は家の中がゴミ屋敷なのか。どちらにしても、そういった情報を隠して契約させようとした売主はマトモではない。理由が何だったとしても、この家は自分達のような素人には買えない。牛人間も同じ見解だった。「じゃあ、予定通りあの土地を買うってことで話を進めようか」
結局、買えない家だったのだ。昨日あれだけ揉めたのは何だったのか。全く呪われた家である。その後Tさんから連絡が入り「調べてみたら、どうもあの家のリビングでおばあさんが死んじゃったみたいです」とのことで、本気で呪われた家だったことが分かった。唯物論者の牛人間はその話を聞いて「そういう理由だったら全く気にならないから買おうか。せっかく安いんだし」と言ったがそんなキチガイな意見は無視する。住みたかったら独りで住めばいい。
色々あったが、どうやら土地を買って家を建てるという方向に決まりそうである。まだ契約していないので決定ではないが、これ以上ゴタゴタすると夫婦関係は間違いなく悪化するだろう。